先日、別視点ガイド企画の日帰りバスツアーに参加してきた。
その名も「珍スポ聖地巡礼ツアー in 伊豆」。
伊豆は前々から気になっていた。ただ運転免許を持たない私にはハードルが高かった。
そこへバスツアーで伊豆を巡るというのだから、参加しない手はない。
ということで、伊豆の珍スポットを巡り倒してきたので、今回はそのレポートをさせていただこうと思う。
朝7時45分。
座席について、点呼を済ませると、バスは走り出した。出発予定時刻ぴったりだ。
それから間もなく別視点の松澤さんが前に立ち、挨拶が始まった。
「珍スポットの魅力は、ネット記事だけでは伝えきれません。
実際に珍スポットの独特な空間に全身をうずめることが出来る、それがバスツアーの醍醐味です。
今日は珍スポット5箇所を巡るハードな内容ですので、だんだん自分の中に邪気のようなものが溜まっていくと思います。
あまり溜め込みすぎずに、みなさんで感想を共有するなどして解消してください。」
「邪気」という言葉が入る挨拶は初めてだ。
でもそう言われるとむしろワクワクしてしまうのが、人間の心理じゃないだろうか。
ようし、がんばって自分の中で邪気を出し入れするぞ!
続いてお土産のお菓子が配られた。
バス旅におやつは欠かせない。おやつの登場に盛り上がる車内。
静岡限定版のバリ勝男クン(わさびマヨ味)。
パッケージのほのぼの漫画がかわいかった。
「辛みばしってる~」という表現に全然ピンとこなくて笑ってしまった。目がきれい。
サービスエリアで休憩後、これから巡る珍スポットのガイドが始まった。
車窓から富士山を眺めながら、ガイドに耳を傾けた。
ガイドというか、取材に基づいたエピソードトークに近いかもしれない。臨場感があって面白い。
力強いパンフレットは、カメラマン斎藤さんのデザイン。
パンフレットとガイドの合わせ技で、到着前からワクワクが止まらない。
車窓から不意に見える珍スポットも、都度アナウンスがあるので油断できない。
右手に見えるのは、怪しい少年少女博物館。
以前はペンギン博物館だったらしい。ペンギンからずいぶんな衣替えをしたようだ。
「怪しい」とうたっているだけあって、巨大な怪しいモニュメントが印象的だった。
ペンギンの名残すごいな。
この伊豆高原付近は珍スポットの宝庫らしい。確かに車窓から奇抜なものをたくさん見かけた。
車道沿いに配置された木馬、巨大な肌色のゴリラ像、殺人事件のあったひもの店。
そんな奇抜で溢れた通りで、コンビニだけが茶色の看板で景観保護している。
一番なんでだよ、と思った。
1.パチンコ・プチミュージアム CRベルポルト2
記念すべきファースト珍スポットはパチンコミュージアム。
一見、普通のお宅に見える外観だ。
中に入ると、数えきれないほどのパチンコ台が! コレクションは100台以上らしい。
実際に打って遊べるけど、あまりに多くて決められなかった。
迷いすぎて、ただただ店内をうろつくやつをやってしまった。
私が一番気に入ったのは小物のコーナー。パチンコ台のパーツがバラ売りされている。もの珍しくて夢中で漁ってしまった。
浜ちゃんの顔面を買った。下唇と目玉の動きが連動してるところがアツい。
浜ちゃんの下唇を無限にペロペロペロペロ触り続けられるのは良い。とても良い買い物をしたと思う。
フレームを生かしたゴージャスな鏡も、乙女心をくすぐられてたまらなかった。
2.アトリエ・ロッキー万華鏡館
パチンコミュージアムから歩いて万華鏡館へ。
途中で看板を見かけた。これはそそる看板だ。
「伊豆高原で1番入館料が安く、2番目に楽しい」
2番目に楽しいのなら間違いない。
ロッジのような外観の万華鏡館。
パチンコミュージアムもそうだけど、パッと見は民家のようなので、1人で入るには勇気がいるかもしれない。
こういう時、ツアーのありがたみを改めて感じる。
看板にもあった世界一巨大な万華鏡の模型。
実物は大型バスと同じサイズだそう。さすが世界一はスケールが違う。
「はい、じゃあ、こちらに巨大万華鏡があるのでね、どうぞ~」
と、リビングにお通しする感じのテンションのオーナーさんについて行く。
万華鏡を覗くというより、万華鏡の中に全身入り込むイメージ。
巨大な美しい模様が目の前でゆらゆらと色形を変えていく。
厳かなBGMと、どこか無機質な音声ガイドも雰囲気にぴったりだった。
「計算上、同じ模様が出る確率は、4600億年に1回と言われています。同じ模様をご覧になりたい場合は、4600億年後にまたお越しください。」
と無機質ギャグも聞けてとても良かった。
お次は屋外の手作り万華鏡を見学。
ボタンを押したり、受話器をあげたり、ギミックの凝ったものが多い。でもオーナーさんが使い方を丁寧に説明してくれるので安心だ。
使い方を教わっても戸惑ってしまう、トイレの万華鏡。
フタを開けると香水の良い匂いがした。
毎日シャネルの5番を吹きかけているそう。なぜ?
最高だったのはお寿司の万華鏡。
右下のボタンを押すと、陽気な「スシ食いねェ!」の歌に合わせてお寿司が回る。
万華鏡で回るお寿司を見ると、人は恍惚としてしまうようだ。最高だった。
夢中でお寿司を眺めていたら、店内からオーナーの奥さんが顔を出した。
「みなさん、そちらも良いですけど、店内に本物の万華鏡があるので入ってきてください。」
「こっちが本当なんですよ。プロの作家が作った本当の万華鏡。本当は、本物のほうをじっくり見ていただきたいの。」
めちゃくちゃハッキリ「本当」とか「本物」とか言う。
いやいや、奥さん、外のお寿司のやつもすごく良いと思いますよ!
奥さんに勧められ、プロ作家の作品を覗いてみる。
本当だ!すごいキレイ! 本当の本物だ!!
他のお客さんも口々に「これが本物か~」と言っていて面白かった。
3.伊豆シャボテン動物公園でランチ
名前の通り、園内にはたくさんのサボテン。
こちらはシャボテン動物公園のアイドル、カピバラを模したカピバーガー。かわいい。
ハンバーガーの具を撮ろうと思って、いったんカピバラの顔をどけたら、日焼けしたサーファーみたいになってとても良かった。
お隣のかたはサボテンカレー。輝くような緑のごはん!
ルーにはサボテンの葉肉が入っていたそう。
楽しみにしてたサボテンステーキは残念ながら品切れ。次回は是非サボテンを食べてみたい。
食事を早めに済ませ、バスの集合時間まで園内の動物を見ることに。
マーラに無視されたり、警戒されたりして、穏やかな時間を過ごした。
4.カモメ次郎のものまねショー
「ものまね喫茶さる~と」のかもめ次郎さんによるものまねショー。
かもめ次郎さんがバスに乗り込んでのお披露目!
かもめ次郎さんの登場に湧く車内
モノマネが似てないという前評判を耳にしてドキドキしていたけど、カモメの鳴き声がめちゃくちゃ上手くてびっくりした。これがかもめ次郎なのね!
さそり座の女を熱唱するかもめ次郎さん。美川憲一のお面が良い仕事してる。
歌の終盤になると、顔からお面が少しずつ離れていくのが気になった。
続いて森進一のモノマネ
たぶんお客さん全員そうだと思うけど、森進一のモノマネより、かもめ次郎という人物が気になり始めてる。
かもめ次郎ふんする森進一
ほぼかもめ次郎
完全なるかもめ次郎
もうモノマネが似てるとか似ていないの次元じゃない。
かもめ次郎は最高ということ、それだけだ。
「いつもは300円のモノマネCD、今回は特別に500円ですよ~」
と言いながらCD数枚を売り上げて、かもめ次郎は去っていった。
5.まぼろし博覧会
バスが到着する前からすでに車内は騒然としていた。
「見てください! (館主の)セーラちゃんが走ってお出迎えしてますよ!」
と松澤さんが叫んだからだ。
確かにピンクのドレスをなびかせながら走っている人が見えた。
ものすごい速度でバスを追ってきてる。
窓越しでこの強烈なインパクト!
可愛いドレスを着ているけど、セーラちゃんは男性とのこと。
もうバス車内のボルテージは上がりきっている。
全員バスから降りると、一斉にセーラちゃんのもとへ向かった。
しかし、ちょうど他のお客さんのお見送りタイムとかぶってしまったらしく、敷地内をせわしなく駆け回るセーラちゃん。
「っしゃ!」と小さく叫びながら、スプリントバーストをキメるセーラちゃん。
その姿はまるでアスリートだ。私服が派手なアスリート。
お見送りを終えたセーラちゃんをみんなで囲む。
なんとセーラちゃんから名刺を頂けるようだ。私にもください!
「ハァ、ハァ、はい、名刺…です、ハァ、ハァ」
息切れの中、名刺を頂戴した。そして名刺ごしに見た隆々とした筋肉に、私はごくりと息を飲んだ。
すっかりセーラちゃんの魅力に憑りつかれてしまった。
まぼろし博覧会がどういうところか説明するのはとても難しい。
ジャンルとしてはテーマパークなのだろうか。
東京ドームのグラウンドとほぼ同じ敷地面積らしい。広い!
時間が限られているので、気合いを入れ、いざ館内へ。
いきなり入口でギャーと叫びそうになった。
変態の人かと思ったら変態のマネキンだった。良くないけど良かった。
展示物は全てセーラちゃんが集めてきたものらしい。
ということは、この大きな三輪自動車もどこかから運んできたのだろうか。
どこもかしこもレトロなアイテムがぎゅうぎゅうに詰まっている。
それにしても濃度が高い。密度も高い。
レトロだけど、懐かしい感じとも違う。奇妙で不気味な異次元に迷いこんだような感覚だ。
あとマネキンが普通に怖かったので、ずっと膝がガクガクしていた。
膝の震えが止まらない時は、なぜか壁に貼ってあった漫画家師弟図を眺めたい。
ああ、そこがそう繋がってて…え、そうなの? 課長島耕作の先生のもとで、つるピカハゲ丸くんの先生が…? なるほどなぁ…。
へぇ…すごい落ち着く…。
膝の震え再開
ちゃんと見たいけど、本能がそれを邪魔する。こわい!
今すぐ漫画家師弟図のところまで戻って、落ち着きを取り戻したい。
課長島耕作のもとでつるピカハゲ丸くん、課長島耕作のもとでつるピカハゲ丸くん
課長島耕作つるピカハゲ丸くん、あ、もうだめだ。こわ。ギブアップ。
半分パニックになりながら、屋外の通路に出た。
何も無い自然の道って落ち着く。館内は何かがありすぎた。
あの圧倒的な量の展示は、日々増殖してるというから恐ろしい。
まぼろし博覧会は一体どこまで広がり続けるのだろうか。そのうち伊豆全体を飲み込むんじゃないか。
集合時間まで時間があったので、建物の外も歩いてみることに。
ちょうど見頃を迎えた河津桜がきれいだった。
ソメイヨシノと比べて濃い目のピンク。かわいらしい。
奥でヤカンがぶら下がっていた。
ここで気が付いた。花ごしにうっすらとなら、奇妙なものを見ても平静を保てることに。
花壇では菜の花が元気いっぱいに咲いていた。
古代中国の兵士も元気いっぱいに置かれていた。
菜の花の黄色は、私たちの心を晴れやかにしてくれる。
水の入ったタライに浸かってるおかめのお面をかぶってセーラー服を着た上半身だけのマネキンも、見方を変えれば晴れやかな気持ちにさせてくれるかもしれない。
…まぼろし博覧会、パワー全開だった。それに加えて凄まじいインパクトのセーラちゃん。熱狂的なファンが多いのもうなづける。
最後のお楽しみ
珍スポット5箇所を巡り終え、あとはバスで帰るだけ。
と思いきや、ビンゴ大会が始まった。
賞品は今日巡った珍スポットにまつわる珍アイテム。
熱心に取り組んだものの、残念ながらビンゴならず。
そういえば、誰かが「ビンゴ!」と手を上げる度に、カメラマンの斎藤さんが
「ちょっと待ってください! 本当に揃っているか確認させてください!」
とすごい剣幕でカードを確認しにくるのが面白かった。検問かよってくらい厳しい。
斎藤さんの前では、どんなイカサマも通用しない。イカサマ殺しの斎藤。
これがバスツアー最後の学びとなった。
新宿に戻ってきた。12時間、本当あっという間だったな。
最後に、かもめ次郎さん特製のお守りをいただいた。
やっぱりかもめ次郎は最高だ。
ありがとうございました。