突然ですが、こちらの写真をご覧ください。
酔っぱらって帰る道中で、ふと撮った写真です。
自販機のサンプルが傾いてて面白かったので撮影しました。
酔っぱらってると何にでもウケちゃうの恐ろしいですね。
続いて、同じ自販機の翌日の様子をご覧ください。
お分かりでしょうか。向かって右側のオロナミンCです。
180度回転して、こちらへおしりを向けているんです。
不思議に思い、また翌日に様子を確認しに行くと…
真正面に向き直ってました。何だこれ、こわい。
ちなみに他のサンプルに変わった様子はありませんでした。
どういうわけか、このオロナミンCだけが回転しているのです。
1人元気ハツラツに活動するオロナミンC。
何故回るのか。勝手に回るのか、それとも誰かに回されているのか。
考え得るどのルートを辿っても、「いや、なんでだよ!」にたどり着いてしまいます。
私はこの回るオロナミンCの真相が気になり、観察してみることにしました。
仮説を立てる
何故オロナミンCが回転するのか仮説を立ててみました。
【自然に回転している場合、考えられる原因】
①自販機内部のインバーターが稼働する時の振動
②ジュースの補充で自販機を開閉する時に起こる振動
③ジュースが取出口へ落ちる時の振動
【人為に回転させている場合、考えられる原因】
①オロナミンCを回転させたい人がやっている
オロナミンCを回転させたい人がもしいるなら、会ってみたいですね。
1日ごとにオロナミンCを観察する
改めて翌日から観察を開始しました。
9月5日~9月7日の3日間の様子です。
地味だ。よく見ないと分からないレベルで地味に回転しています。
急に繊細な動きを見せてきたので、こちらとしても対抗措置を取らないといけません。
ミリ単位の動きに対応できるよう、オロナミンCの胴回りを計測しました。
計測の結果をオロナミンC寸法表にまとめました。
私も長いこと事務職に就いていますが、エクセルでオロナミンCのラベルを描いたのは初めてだったので、とても新鮮な気持ちで作成出来ました。
オロナミンC寸法表のおかげで、下記の通りの動きが明らかになりました。
・9月5日~9月6日→9mm(時計まわり)
・9月6日~9月7日→7mm(時計まわり)
大体同じペースでゆっくりとオロナミンCは回っているようです。
この時点で一番しっくりくる仮説は、自販機内部のインバーターが定期的に振動し、それに合わせてオロナミンCもじりじりと動いている、ということでしょうか。
しかしそうだとしても、初めに目撃した1日で180度回転する現象は何だったのか説明がつきません。
もう少し観察を継続する必要がありそうです。
観察を再開しました。
無邪気な少女みたいですね。傾げてみたり、振り向いてみせたり、あどけない動きは少女そのもの。急にどうしちゃったの。
で、1ミリも動かないパターンもあるんですね。なんなんだ。
私はやり場のない怒りに震えました。
役立たずのオロナミンC寸法表にです。ミリで測ったところで何も見えてこない。
何であんなもの一生懸命作ったんだ…!
オロナミンC本体をじっくり観察してみる
混乱してきたので、今一度、サンプル自体をじっくり観察してみることにしました。
左のオロナミンCは本物のガラスビンでした。
右のオロナミンCは薄いプラスチック素材で、見るからに軽そうです。
ペラペラです。体重が軽い分、振動などの影響を受けやすいということですね。
だから同じオロナミンCでも、右のプラスチック製だけがぐるぐる動いていたに違いありません。
上から覗き込んで気が付いたのですが、留め具とビンの間に隙間がありました。ゆるゆるなので、元々は缶サイズの留め具なのかもしれません。
以上の点から、右のオロナミンCは体重が軽くて固定も緩い為、そもそも動きやすい状態であることが分かりました。
そして「動きやすい状態=何かのきっかけで自然と動いている」という線が濃厚になってきましたね。
真相に一歩近づけました。
と思ったら、ガラス製のオロナミンCもおもむろに動き始めました。「びっくりした?」じゃないよ。
「素材が軽くて動きやすい」という前提も覆されてしまいました。絶望です。
お店の人に直接原因を聞いてみる
実はこの自販機なんですが、コンビニの店頭に設置されているんです。
なのでコンビニの店員さんへ直接聞いてみることにしました。
初めからこれが一番近道だと思ってたんですよね。
分かっていながら何故そうしなかったかと言うと、閉店が夜8時の為、仕事帰りの足ではなかなか行けなかったからです。
そこで意を決して休日の昼間にコンビニへ聞き込みへ行きました。
――すみません、あの、外の自販機なんですが…。
「はい?」
――外にある自販機のことでお聞きして良いですか?
「はぁ。」
――自販機のオロナミンCのサンプルが、あの、動いてるというか、日によって向きが変わってる気がするんですが…。
「え、そうなんですか? は?」
――あ、大丈夫です。すみません。ありがとうございました。
途中で突然大丈夫な気持ちになったので、聞き込みは終わりました。
店員さんはオロナミンCの動きに気づいていないようだし、「なんだこいつ」という空気をひしひしと感じたので、大丈夫になりました。
聞き込みの結果、ジュースの補充時にオロナミンCが動く線は薄そうです。もしそうなら、店員さんが補充時に気づいて直すはずだからです。
…ますます真相は迷宮の奥へ潜ってしまいました。
自分で動かしてみる
残りは「購入したジュースが取出口へ落ちた衝撃で、オロナミンCも動く」という仮説です。
実はこれ、かなり高い可能性で動くのではないかと睨んでいました。
私、買います。自らオロナミンCを動かします。
堂々と目の前でオロナミンCが動く瞬間に立ち会ってやりますよ。
カメラを動画モードで構え、購入ボタンを押しました。
GIFです。飲み物が落下した瞬間なんですが、全く動きがなくて静止画みたいになりました。
オロナミンCが動き回る自販機で夜な夜なほうじ茶を買う女って気味悪いでしょうね。
15本くらい買って止めました。オロナミンCが1ミリも動きを見せなかったからです。もういいよ、惨敗だよ!
これまでの調査のまとめ
①原因は自販機内部のインバーターが稼働する時の振動?
→ミリ単位で動いている日は影響してる可能性はある。しかしそうとは思えないほど動き回っている日がある。
②原因はジュースの補充で自販機を開閉する時の振動?
→店員さんが気づいていなかったので、可能性は薄い。
③原因はジュースが取出口へ落ちる時の振動?
→ 買えども買えどもオロナミンCは地蔵のように動かない。
④オロナミンCを回転させたい人がやっている?
→そんな人はいないし、もしいるとすればそれは未来の私なのかもしれない。
まとめ:オロナミンCが回転する意味は分からないし、こわい
それでもオロナミンCは回っている
動き回るメカニズムは全く分からないままですが、私はオロナミンCを眺め続けました。
映画館でイチャつくカップルを見るようなやるせない気持ちになったりもしました。
それでも見守り続けました。
観察を始めたのは夏の終わりでしたが、気づけばもう冬の足音が聞こえる季節。
時の流れは残酷です。
オロナミンCが炭焼カフェオレに入れ替わっていました。
オロナミンC…!
突然の別れにショックで膝から崩れ落ちそうになりました。
何も全部あったか~いに入れ替えることないよ…!
そしていつしか自販機本体も消え…
全てが無くなりました。
私は長い夢でも見ていたのでしょうか。
ありがとうございました。