店名の由来を予想して実際にお店に行ってみる【赤羽編】

 

ふと思い立って赤羽に行った。

初めての赤羽だ。 

 

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赤羽は東京都の北区にあるらしい。

千葉県民の私にとって都内=山手線のエリアのイメージなので、そんな北にも東京が?! と驚いてしまう位置取りだ。

地図で確認したら、もうほぼ埼玉である。なるほどここは盲点だった。

 

聞いた話によると、赤羽はいい感じの飲み屋街や大きな商店街があって、下町情緒のある町とのことだ。

さぞかし良いところなのだろう。みんな「良い」って言うし。

 

そんな風に赤羽のことを考えていたら、電車に乗って来ていた。赤羽に。

私は勢いのままに赤羽を歩いてみることにした。

 

 

 

 

店名ミステリーツアーをやってみる

 

知らない町で「店名ミステリーツアー」というゲームをやるのがブームだ。

地図を開いて気になる名前のお店を見つけ、実際にそのお店へ行ってみる。

向かう道中でなぜその店名なのかを推理しつつ、現地で答え合わせするという遊びだ。

これがなかなか当たらないんだけど、けっこう楽しい。

 

 

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さっそく赤羽駅で地図を開いてみた。

「どんどんけんちゃん」というお店が気になる。

 

どんどん……どこかの地方にどんどん焼きっていう小麦粉を焼いたやつがあった気がする。それだ、お好み焼きっぽいやつだ。

けんちゃんは店長の名前だろう。たぶん威勢のいいおじさんだと思う。ハチマキとかしてるんじゃないかな。

 

予想がまとまった。

「どんどんけんちゃん」とは、店長のケンちゃんが切り盛りするお好み焼き屋!

 

 

 

 

 

 

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どんどん、ドラムとベース音だった。

そっちのパターンか。
看板に「けんちゃん」の名前はなかった。似顔絵の人がけんちゃんだろうか……?

 

 

 

 

気を取り直して次に行きたい。

 

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「ハトポッポ」がすごく気になる。かわいい名前でとても良い。

 

ハト……、豆……? 豆料理……

料理の前に出される豆スープが密かに人気の……

そう、小さな洋食屋だ!

ハトポッポは町の小さな洋食屋さん!

 

 

 

 

 

 

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ラーメン、餃子! 中華料理屋!

 

意外すぎた。 なぜハトポッポなんだ。

現地に着いても答えが分からないパターンもある。

そういう時はお店に入って確かめてみたい。

 

入口の引き戸を開けた。 

お客さんはおらず、中央の厨房にいた寡黙な感じの渋いおじさんがこちらを見た。ちょっとドキドキしちゃう。

緊張しながら、コの字カウンターの隅っこの席に座り、ハイボールとおすすめと書いてあった餃子を頼んだ。

 

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鉄板でジュウジュウ音を立ててやってきた餃子。すごくおいしい。下に敷いてあるピーマンも最高。これ当たりだ。

 

……そうか、なるほど。確かにこの餃子、ハトに見えなくもない。芝生の上で戯れるハトの群れっぽいというか。そうだ、ハトだわこれ。だからハトポッポなんだわ。うん、そうに違いない。

 

だからわざわざ店長さんに聞く必要もないかな……?

話しかける勇気が沸き上がらない。餃子をつつきながら自問自答を繰り返す。

 

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ふと脇の壁を見上げたら、ハトポッポの字が目に飛び込んできた。

うう! 一体なんなんだ、ハトポッポ!

だめだ、聞くしかない。気になってしょうがない。

私は残ったハイボールを勢いよく飲み干し 、カウンター越しに店長さんへ声をかけた。

 

「あの、こちらのお店の名前はどうしてハトッポッポというんですか……!」

 

寡黙な感じの店長さんがニコっと笑った。あれ、優しそう。

 

「よく聞かれるんだけどね、ハトポッポっていうのは先代がつけた名前なんですよ。

中華料理屋って漢字がごちゃごちゃして読めない店名のところ多いでしょ?

だからうちは誰でも簡単に読める、耳馴染みの良い名前にしたいって。

ポッポッポ~ハトポッポ~つって。みんな歌えるし知ってるでしょ。

だからハトポッポ」


これは聞かないと分からない答え! 勇気を出してよかった。

由来を聞いて改めてすごく良い名前だと思った。

確かに大人から子どもまで誰でも聞いたことのあるフレーズ!

店長さん、おいしい餃子とナイスなご回答をありがとうございました。

 

 

 

 

続いては、赤羽と十条の間で見つけたこちらのお店。

 

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パパゲ珈琲店

 

パパゲってなんだろう。コーヒー豆の種類? 産地の名前かもしれない。中南米とかそっちのほうの語感のような気がする。

パパゲ地方で採れる厳選されたコーヒー豆が自慢のカフェ……

うん、これだ!

 

  

 

 

 

 

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パパゲ珈琲店の店先にメニューが置いてあった。

スペシャリティコーヒーは「コロンビア ナリーニョ」と「ケニア キリニャガ」と書いてある。豆の表記に「パパゲ」は見当たらない。

ただ「パパゲブレンド」というのはある。

まだパパゲが産地である可能性は残っているな。

 

さらにメニューに目を通すと「今週のマダムの手作りケーキ」というのもあった。

ブルーベリーとヨーグルトのシフォンケーキとチョコレートケーキか……

これはお店に入ってみないといけない。

決してメニューのたたずまいからおいしいケーキにありつけそうだと察したからではない。

私は店名の由来が知りたいだけ。ただそれだけ。

 

 

店内は黒と赤を基調にしたシックな内装。そこに軽快なジャズ。これは良いお店だ!

人気のようでお客さんでにぎわっていた。

運よくカウンターがひと席空いていたのでそこに収まった。

 

 

ダンディなマスターにパパゲコーヒーとシフォンケーキを注文。

まだだ。パパゲの由来を聞くのはまだ早い。もうちょっと馴染んでからいきたい。

 

壁一面に並んだコーヒーカップに見惚れていたら、マスターがどのカップでコーヒーを飲みたいか聞いてくださった。いいんですか!

 

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ひときわ鮮やかだったみずみずしい蓮のカップをチョイス。美しい。

丁寧に淹れてくださったコーヒーもおいしい。

 

  

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マダムの手作りだというシフォンケーキ。しっとりもちもち、吸いつくような食感で感動してしまった。すぐ食べ終わった。 

 

 

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店内のいたるところに精巧なジオラマが飾ってあって、その間を小さな電車が走っていた。

電車を目で追っていると、お客さんのソファーの背後を通り、カウンターの脇を抜け、カップが飾られた棚の下を走っていった。すごい、電車がお店を一周してる。どこまで素敵なんだこのお店は。 

 

天井知らずの素敵さにうなりながら、せっかくなのでジオラマを近くで見せてもらった。

 

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かわいい。ジオラマ国の住人たちのことずっと見ていられる。 

 

見ていられるが、店名の由来を聞くタイミングを完全に逃している。

パパゲってどういう意味なんだ……

だめだ、気になる。聞くぞ! 仕事の邪魔にならないようになんかカジュアルな感じで聞けば大丈夫だから! いけるいける! 

 

 

「あの、すみません、パパゲというのはどういう意味なんですか?」

 

「はい、パパゲっていうのはですね、ここに書いてあるんですよ」 

オーナーの奥さんらしき女性がショップカードを手渡してくれた。

 

 

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書いてある?

私が首をひねっていると、奥さんがニコニコしながら話してくれた。

 

「そこに犬のイラストが描いてありますでしょう?

その子は、ずっと昔に私が落書きで描いたんですよ。なんとなく雰囲気でパパゲちゃんって名前をつけて。

それから年数が経って、このカフェを開こうってなった時に、気がついたらこの子の名前が店名になってました」

 

奥様の落書きから店名を?!

そんなひょんなことが店名になるだなんて予想もできなかった。

もう素敵。素敵さがすごい。素敵列車が風をきって私の心をさわやかに駆け抜けた。

 

パパゲ珈琲さん、おいしいコーヒーと絶品ケーキ、素敵なお話をありがとうございました。

 

 

 

 

 

赤羽を散歩をしてみる

 

お店に向かう道中、道端でいろいろな出会いがあった。

良い町には良いものがたくさんある。

 

まずはネコ関連のもの。

 

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受け皿つきのネコ避け。特殊なスタイルだ。

 

 

 

 

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ずらりと並んだネコ避けペットボトル。こんなに数があると緊張感がある。人間界とネコ界の国境線のようだ。

 

 

 

 

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焼酎の4リットルペットボトルによる大規模なものもあった。

これはすごいぞ! と数えてみたら183本もあって嬉しかった。いいものを見た。

 

 

  

 

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こちらではネコチクがこれでもかと敷き詰められていた。

  

 

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そのネコチクを眺める猫。隣の生命力が爆発したような植木。

のどかな風景のなかで戦いは静かに起こっているのかもしれない。

 

 

 

 

 

そのほか道端で出会ったものたち

 

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普段は見えない部分が思いがけず見えていると嬉しくなってしまう。

建物の根っこ。

 

 

 

 

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誰かの近道ルート。

フェンスの先は駐車場になっていて、本来の入口は道なり50メートル先にあって地味に遠かった。

  

 

 

 

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時計メガネ宝石→DOG CAFE→椿ラーメンという歴史

 

  

 

 

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左が勝ちました

 

 

 

 

 

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金土はエエコトが行われるらしい

 

  

 

 

だんだんしょうもなくなってきたので、最後は私のお気に入りの1枚で終わりにしたい。

 

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ベーグル屋の窓にすてきなイラストがあった。

 

 

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右から見ても左から見てもじわじわ来る

 

 

 

 

 

赤羽はいい町だった

   

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さも最近行ったかのように書いてしまったが、実は1年前の記録なのでまた赤羽には行かないといけない。 

気になるお店もたくさんあるし、焼酎のペットボトルの列が増えているか数えにいきたい。

 

 

 

 

 

 

↓以前、東京別視点ガイドで店名ミステリーツアーの記事を書いておりました。よかったらどうぞ~

http://www.another-tokyo.com/archives/50557381.html