あんみつパフェにはコアがない

 

 

ある日、友達から「あんみつパフェ」という食べ物の存在を教えてもらった。

ディズニーシーにあるらしい。

あんみつパフェねぇ、あんみつ好きとしては大変興味深いじゃないですか。

 

 

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さっそくあんみつパフェで検索をかけたら、画像がたくさん出てきた。

あんみつパフェねぇ、良いですねぇ! 夢中で画像を眺めていた時だった。

ふと違和感を覚える。

 

あんみつパフェって……なんだ?

 

こういう時は落ち着いてウィキペディアを開いて確認したい。

あんみつとは、パフェとは。

 

◆あんみつ  

あんみつとは、みつ豆にあんこを乗せた和菓子。

さいの目状に切った寒天に、茹でて冷やした赤エンドウマメ、あずき餡、求肥、干し杏子などをのせ、蜜をかけて食べる。

 

 ◆パフェ 

パフェとは、背の高いグラスに、アイスクリーム、フルーツを主体として、その他の甘い具を加えたデザート。
生クリーム、バタークリーム、チョコレート・ソース、シリアル、ナッツなどを加える。

 

違和感の正体は、あんみつとパフェの構成にあった。

どちらも、複数の具材からできた集合体なのだ。

「これが入っているからパフェ」とか「これが入ってないとあんみつじゃない」みたいなことはない。

そう、恐ろしいことにあんみつとパフェ、どちらもコアがない食べ物といえる。

 

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じゃあ、コアのないもの同士が合体したらどうなっちゃうの? という話になってくる。

 

「あんみつパフェ」という名前なので、もちろんベースはパフェのはずだ。

そこにあんみつ要素をプラスしたのがあんみつパフェ。

仕組みは簡単だ。だけど哲学としてはとても難しい。

どこにも主体性がないあんみつパフェという食べ物は、どんな具材で構成するというのか。

あんこに黒蜜、寒天は入る? コーンフレークは?

いや、なんなら、細長いグラスにあんみつの具材を入れたらパフェっぽくないですか? という気もしてきた。

考えれば考えるほど分からない。

あんみつパフェ……一体どういうことなんだ。

 

 

 

 

分からなくなってきたので、少しクローズアップしてあんみつパフェの「あんみつ」部分に注目してみよう。

 

世間一般的に「あんみつ」というと、きっと地味でぱっとしないイメージを持たれているのではないだろうか。

そもそも、あんみつがどんな具材で構成しているのか浸透してない可能性もある。

ふんわりとした認識と立ち位置、それがあんみつという食べ物だと思っている。

 

 

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じゃあ、あんみつパフェの「あんみつ」部分はどうなっているんだろう。

もしかすると、ここに世間が考える「あんみつらしさ」が表れているんじゃないだろうか。 

あんみつといったらこれだよね! といった感じで、あんみつを象徴する具材が乗っているはずだ。

めちゃくちゃ興味深い。

みんなあんみつのことどう思ってるの。

 

決まりだ。あんみつパフェを食べてみよう。

謎に満ちたあんみつパフェの構成、そして世間が考えるあんみつ像をあぶり出してみようじゃないか。

 

 

 

 

調査対象

 

今回は3店舗のあんみつパフェを食べてみることにした。

前提として甘味処は調査対象から外している。

通常あんみつを出さないようなお店が考えて用意した、あんみつ的な具材を確認していきたい。

 

 

 

 

カフェ(個人店)が出すあんみつパフェ

 

まずはカフェだ。

コーヒー豆を挽く心地よい音と香ばしい香りに包まれながら、あんみつパフェを注文してみた。 

 

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さっそくウィキペディアにあったパフェの要素のひとつ「背の高いグラス」が覆された。

中肉中背のグラスだ。頼りがいのあるフォルム、私は嫌いじゃない。

 

 

  

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トップにはソフトクリーム。きな粉と黒蜜のお化粧で色づいている。

脇に添えられているのは艶やかな白玉。

 

 

 

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グラスの縁からはみ出さんばかりの白玉の曲線美に、思わずスケベな笑いが出てしまった。

 

 

  

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グラスの中は、コーンフレーク、生クリーム、あんこ、白玉が重なっていた。

淡い色合いの中で、あんこの黒が引き立っている。またスケベな笑いが出ちゃう美しいストライプだ。

 

食べてみると、かなりパフェの要素が強かった。

生クリームが多く、コーンフレークの食感が目立つからかもしれない。

 

パフェの内容をまとめると下記のようになった。

 

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こちらのカフェでは、4種類の具材であんみつらしさを表現していることが分かった。

きな粉については、あんみつらしいかと言われるとちょっと考えてしまう。

でも和風の雰囲気は出るので気持ちは分かる。

意外な結果だ。思ったよりあんみつから遠いところに置いたあんみつパフェだった。

 

 

 

  

 

ケーキ屋のあんみつパフェ

 

ケーキ屋さんのガラスケースに並んでいたあんみつパフェ。  

 

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サイズはプリン容器と同じぐらい。

 

 

  

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フルーツがジュレでコーティングされて艶っぽい。

ケースで陳列するための乾燥防止だろう。ケーキ屋ならではの工夫だ。

透明感のある粒あんは水分が多いタイプ。ソースのような役割なのかもしれない。

 

 

  

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フルーツの下から出てきた生クリーム畑をスプーンで掘ってみると、思わず目を疑った。

抹茶ムースと黒糖味のゼリーが出てきた……!

 

 

 

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寒天じゃなく抹茶プリンと黒糖ゼリーを仕込んでくるとは想定外だった。

といっても、全体的に和テイストでよくまとまっていたので、あんみつパフェとして説得力があった。 

 

 

 

 

 

サンマルクカフェの白玉あんみつパフェ

 

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サンマルクカフェのパフェシリーズに「白玉あんみつ」というのがある。 

たった390円(税抜)で食べられるパフェとして今日も大勢の人々が救われていることだろう。

 

 

 

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こちらが白玉あんみつパフェ。なんてシンプルな構成だ。

 

 

 

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ソフトクリームの頂上から流れる黒蜜の川。

それをグラスの縁に沿って並んだ白玉の壁がせき止めている。 

黒蜜と白玉の美しいせめぎ合い。いつまでも見ていたい。

 

 

 

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体をかがめてグラスの側面を覗き込む。コーンフレークが多そうだ。

 

 

 

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え、というか全部コーンフレーク? うそ……!

 

 

 

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アリ地獄のようなコーンフレークの巣に吸い込まれたスプーンは、ずぶずぶと埋まって行き、二度と戻ってくることはなかった。

 

 

 

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リーズナブルなだけあってとても潔いパフェだった。

「白玉あんみつ」という名前なので、もちろん白玉は乗っている。

そうなると、あんみつ要素は黒蜜のみで表現しているということになる。

大胆すぎて絶句してしまった。

 

 

 

 

 

まとめ

 

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集計結果を見ると、最も使われた具材は白玉という結果になった。まさかのダークホース。

どうやら世間では「あんみつ=白玉・黒蜜・あんこ」というイメージが強いようだ。

一方、あんみつの基本である寒天や豆は一度も登場しなかった。

こう考えると、あんみつの中でもパフェの派手さに遜色ないメンバーとして、白玉・黒蜜・あんこが選抜されるのも、妙に納得してしまう。

白玉・黒蜜・あんこって華があるもんね。

 

今回は3店舗のみの調査だったので、今後もあんみつパフェには注目していきたい。

 

 

 

【おまけ】

 

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ちなみにパンケーキ推しのカフェで「あんみつパンケーキ」を発見したので注文してみたところ、

 

 

 

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あんみつ要素は黒蜜・あんこ・抹茶アイスという結果になった。

やっぱり黒蜜とあんこは強い!

 

 

 

 

 

それでは最後に、仕事中に一生懸命考えてこしらえた、私の理想のあんみつパフェをお届けして終わりたい。

 

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ありがとうございました。